マヌカとは
マヌカはニュージーランド固有の植物で、ニュージーランドの至る所で見ることができます。春先から晩夏にかけて白く小さな可愛い花を無数に咲かせ、花蜜が豊富なことから主要な蜜源植物となっています。先住民のマオリ族は、マヌカの木の葉や樹液を病気や傷を癒す薬として珍重してきました。
1800年代にミツバチが持ち込まれ養蜂が行われるようになると、マヌカハニーもまた他のハチミツにはない特別な治療効果を持つヒーリングハニーとして広がり民間治療で使用されてきました。
マヌカハニーは濃い褐色と強いフレーバー、スパイシーで濃厚な甘さが特徴で、ハチミツ大好きなニュージーランドの食卓に欠かすことのできないテーブルハニーです。
特別な抗菌作用を持つマヌカハニー
ニュージーランド国立大学でハチミツの治療場面での利用法について研究を続けていたピーター Cモラン教授の研究チームは、マヌカハニーの中に他のハチミツには無い特別な抗菌作用を持つものが存在することを明らかにし、1981年に発表しました。
もともとハチミツは抗菌作用を持っています。それはハチミツ内に存在するグルコース・オキシターゼという酵素の働きで過酸化水素がつくられることに起因するものです。この抗菌活性は熱や光の影響を受けやすく不安定なものです。これに対しモラン教授らが発見した特別な抗菌活性は光や熱の影響を受けにくく極めて安定しており、非常に抗菌力の強いものでした。
モラン教授らはこの抗菌活性にユニーク・マヌカ・ファクター(UMF®)と名付けました。また、マヌカハニーから本来ハチミツがもっている過酸化水素による抗菌力を完全に除去したあとの抗菌活性を測定し、その強さをフェノール希釈液の濃度に対応させる検査方法を開発しました。
つまりUMF®10ならば10%の濃度に薄めたフェノール水溶液と同じ殺菌効果があることを示しています。フェノール水溶液は一般的に医療現場などで消毒剤として使用されていますが、手術器具の消毒に使用されるフェノール液濃度は2〜5%です。(山善製薬:フェノール「ヤマゼン」用法容量より)
UMF®マークが生まれた経緯
モラン教授の研究発表後UMF®を持つマヌカハニーは大きな話題を呼び、「アクティブ」マヌカハニーとして多くのハチミツ企業によって独自に商品化され次々と発売されました。しかし一方で、その流通量はたちまち実際の生産量を大幅に上回ることとなり、業界の信頼が大きく揺らぐ状況を招くこととなりました。
こうした中で1997年に、NZ中のハチミツ生産者、市場関係者、研究者を含めた全ての利害関係者に参加を呼び掛けたTRADE NZ会議がハミルトンで開催されました。業界のルールを設定してクリアした商品に統一のマークを表示し、NZハニーの信頼回復と消費者保護を図るというものです。この会議の中で業界団体が組織され、会議の主要メンバーであったピーター・モラン教授らの名付けた「Unique Manuka Factor(UMF®)」 がそのままマヌカハニーの抗菌活性を表示する商標として採用されました。
その後、UMF®マークの所有、管理を行う組織としてアクティブ・マヌカ・ハニー協会(AMHA)が設立されると、AMHAは2007年から2年をかけて世界中の主要なマーケットで販売されていた商品のサンプリング調査を行い、商標の不当表示や無断使用、UMF®レべルを上げるための過度の加熱など数多くの不正を正してきました。それはAMHAのライセンス会員の除名や資格解除を含む極めて厳しいものです。AMHAは、2011年にUMFハニー協会(UMFHA)に名称を変えて、引き続きUMF®マークの表示を保証するための活動を行っています。
厳格なUMF®の商標使用契約
UMF®の商標マークは現在UMFHAが保有し、UMFHAとライセンス契約を結んだ企業だけがUMF®マークを使用することができることになっています。
その契約の主な内容は、次の通りです。
- 1.生産に関わる工場建物・施設は、UMFHAが定めた品質基準をクリアしなければならなりません。これは現在のNZの品質管理基準を上回るものであり、独立検査機関Asure Quality Ltd.社が査定をおこなっています。
- 2.UMF®の数値に関しては製造バッチごとに認定検査機関の検査をクリアしていなければなりません。
- 3.UMF®の付いた商品は、製造バッチによって収穫された巣箱まで一貫したトレサビリティが確立されていなければなりません。
- 4.ラベル、販促資料、ウェブ画面等へのUMF®マークの使用に関してはUMFHAが定めるガイドラインを遵守しなければなりません。
- 5.UMFHAは必要に応じて随時、マーケットから商品をサンプリングし、UMF®の適正な表示が為されているか検査を行っています。もしも、表示が適正でない場合はライセンシーに対し直ちに表示の是正や商品の回収を求めることができます。
- 6.UMFHAが必要と判断した場合は、ライセンシーは工場、事務所の立ち入り検査や会計監査を受け入れなければなりません。
客観的に信頼できる唯一のブランド「UMF®」
大変残念なことですが、近年再び独自のルールで名称や商標を作りマヌカハニーを販売するハチミツ会社が増え、消費者が誤解を与えるような状況が生まれています。それらの名称や商標のうち幾つかは、かつてUMF®を使用していた会社が、重大な違反を理由に協会から除名や資格解除の処分を受け、その後に使用を開始したものです。私たちはUMF®こそ客観的に信頼できる唯一のマークであると断言します。
その理由は大きく2つ挙げることができます。
1つ目は、UMF®の商標がメーカーではなく第3者組織であるUMFHAが所有しているという点。このためUMF®で表示された商品は全て同じ検査機関、検査方法で抗菌活性を測定されています。メーカーが違っていてもUMF®の表示によって抗菌活性を比較することができます。
2つ目は、その商標が正しく使用されているかどうかの厳しいチェックはメーカーが自社で行うのではなく、メーカーから独立した組織であるUMFHAが行うという点です。このチェックには工場の立ち入り検査や書類の確認に加えて、輸出先の国を含めた世界中のマーケットからランダムに購入した商品のUMF®値を検査することも含んでいます。
この絶対的な信頼性が、結果としてニュージーランドのほどんどの大手ハチミツメーカーを含む計43社のライセンシーを獲得し、ニュージーランドにおけるアクティブ・マヌカ・ハニーの表示の主流となっています。